2020年。
コロナのパンデミックのさなか、
葉山の小さなカフェで月に一度、対話がはじまりました。
テーブルの真ん中に、
薪をくべるように言葉を置いていく。
言葉が重なり合うことで、
ゆらゆら揺れる炎のように意味が立ち上がり、
みなでその温かさを共有する。
それは、目には見えないけれど、
僕たちの内面のありようを少しずつ変えていく時間でした。
やがて、ここから一冊の本が生まれ、
そこからさらに対話は続き、
少しずつ出会いが広がり、つながりが生まれ……、
そのなかで耳にしたのが、
「葉山町制百周年」という言葉。
このまちが生まれてから100年。
それは、過去を振り返るための節目ではなく、
「次の100年」をどう生きるか?
未来(これから)を思うための起点かもしれない。
そんな思いをいだきながら、
葉山で出会った人たちと対話を重ね、言葉を重ね、
その一つ一つを記録していく。
それが、このプロジェクトの出発点でした。
2年あまりのあいだに出会ったのは、
葉山にゆかりのある30人の皆さん。
対話を通して立ち上がってきた
一人一人のコア(=願い)が重なり合った時、
「ひとりの声」が、「みんなの思い」へと変わっていく。
見えている景色は違っていても、
そこではふっと、同じ風が吹いているかもしれない。
違う言葉を使っていても、
どこかでおなじ夢を見ているのかもしれない。
100年という時間の先端に立ちながら、
どこにもない(no-where)、
でも、ここにある(now-here)、
そんな「いま」に感謝しつつ、
「次の100年」の地図、
一人一人の物語が重なり合う、
関係性(つながり)の風景をつくっていけたらうれしいです。
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